2006/11/21(火)放送

ピンチをチャンスに!牛乳屋さんの逆襲
最近は、新聞・牛乳だけではなく、色々なものが家に配達されるようになりました。ですが、配達の元祖と言えば、牛乳屋さんです。スーパーなどとの競争が激しくなった今、新しいビジネスに乗り出しています。街の牛乳屋さんの奮闘を取材しました。

■逆風の牛乳屋さんが新ビジネス



まだ、みんなが眠っている時間に、1日の仕事が始まります。朝、1軒1軒の家に牛乳を配達する牛乳屋さん。日本では、明治時代からずっと続いている仕事です。

【東野記者】
「玄関先に、毎日配達される牛乳屋さん。時代の流れと共に、商売の方法も変わりつつあります」

牛乳は、長い間、宅配が主流でした。しかし、スーパーで紙パックの安い牛乳が大量に販売されるようになってから、牛乳屋さんを取り巻く環境は厳しくなりました。



京都市北区の牛乳屋さん、衣笠牧場。親子2代で、店を切り盛りしています。お客さんはおよそ800人と平均的な数ですが、スーパーやコンビニなど、他業種との競争が激しく、将来の見通しははっきりしません。

【衣笠牧場 父の福富泰三さん】
「厳しいです。厳しい中、息子が継いでくれるので、大変やなあと思ってますけど・・・」

【衣笠牧場 息子の福富良亮さん】
「仕事を継いだ理由は、お客さんとの朝のあいさつとか、手渡しの時に『ご苦労さん』とか色々な話ができるし、商売も面白いし、やろうかなと・・・」



牛乳を配るだけではお客さんのニーズに対応できなくなったため、取り扱う商品は年々増えています。ヨーグルトに始まり、黒酢飲料。そして、宅配専用に開発された商品も、牛乳屋さんが配っています。

【衣笠牧場 福富良亮さん】
「宅配専用商品で、スーパーには売っていないです。充実野菜も、スーパーやコンビニで売っているものとは中身が違うんです」

記者「これも、配達用ですか?」
福富「配達用です。これも評判です。『なつかしい味がする』って」
現在扱っている商品は、90種類以上に及びます。曜日によって違う商品を配る家もあり、仕分けの手間が格段に増えました。



さらに、牛乳屋さんの経営状況は、必ずしも良くなっているわけではありません。販売店の数は、20年前と比べて3分の2に減りました。新しいお客さんの開拓が、一番の課題となっているのです。
福富「衣笠牧場という牛乳屋ですが・・・」
住人「うちは結構です」
福富「どうも、すみませんでした」

【衣笠牧場 福富良亮さん】
「いきなり『結構です』が、10軒中7軒。3軒試供品の牛乳を受け取ってくれたら、良い方です」

新規の顧客獲得が難しく、現在のお客さんのおよそ半数が60歳以上の高齢者となった今、牛乳屋さんの多くが、将来の不安にかられています。



これからの時代で生き残っていくには、どうすればよいのでしょうか?

牛乳販売店が、新しいビジネスに乗り出しました。地方の生産者と契約し、牛乳屋さんが仲介する形で商品を販売しようという取り組みです。このような取り組みは、今では全国各地の牛乳屋さんに広がっています。

【京都府牛乳商業組合 谷尻順一理事長】
「この業界でメシを食っていくためには、お客さんに喜んでもらえる商品を探してきて、しっかりと提案をする。そういう方向性に変わってくると思う」



さらに、インターネットで食材や商品を通販する業者と提携し、牛乳屋さんが窓口となって、様々な商品を宅配することにしました。

【オイシックス 高島宏平社長】
「牛乳屋さんは食品を届けるので、お客さんの信頼度が高い。毎月の集金で店主さんと顔を合わせていたり、関係が比較的強い。我々のパートナーシップとしては、大変魅力的です」
インターネットで食品を通販する業者と消費者の間に牛乳屋さんが入り、商品の注文を取って配達します。インターネットを使わない高齢者などを対象に、こだわりの商品を提供していこうという試みです。




福富さんも、この新しいビジネスに参加することにしました。月に1度、お客さんから注文を取って、パソコンで集計して業者に送ります。
福富さん「かぼちゃスープと、黒酢玉ねぎドレッシング。『らっきょう』が人気ですね」

お客さんを繋ぎとめている今こそ、新ビジネスのチャンスなのです。
福富「こんにちは、牛乳屋です。『らっきょう』届きました」

【お客さんは・・・】
「市販で買わんと、いつも頼んでます。美味しいです」
【衣笠牧場 福富良亮さん】
「手渡しにした方が、お客さんも喜ぶと思います。お客さんの顔を見たら、『楽しみに待ってはるんかな』って感じますね」


注文はまだ10件ほどですが、今、牛乳屋さんは、従来の枠にとらわれない新ビジネスに、活路を見出そうとしています。